2010年01月29日
大阪錫器株式会社


今回は錫器を製造している大阪錫器さんへ行ってきました。
錫の歴史は古く、紀元前1500年前のエジプト王朝の遺跡より錫器が発見されているそうです。
日本では江戸時代に一般に広まり、その後の技術進歩を経て今の器物製作に至ります。
大阪錫器さんは昭和58年に伝統工芸品「大阪浪華錫器」として通産大臣より指定を受けられました。
全国で圧倒的なシェアを誇り、錫器のほとんどがこの場所で製作されています。
社長である今井達昌さんは大学で錫の授業を受け持ったり、市の開催する体験会などで伝統産業を伝えています。

材料はこれ。はじめは延べ棒状。

まずは型取り場へ案内してもらいました。
工房では若い方が多く働いているのに驚き。とてもアットホームな空間でした。

延べ棒状の錫を鍋で溶かします。写真でも熱くなさそうですが実物も熱くなさそうでした。
でも実際は230度!!
工房には冷えて固まりつつある錫の鍋もあり、そちらではガラスにヒビがはいる時のようなピキッとした音がしていました。なかなか風情のある音です。


溶解した錫を鋳型の間から流し込みひとつずつ手作業で型取りしています。
流し込まれている錫。CGっぽい。

様々な鋳型があり商品によって使い分けられています。


しばらくして型をはずし刷毛で水を塗り冷ました後、はさみで取り出します。

そして、錫器制作の中心作業である切削作業場へ。
作業場がこちら。
腰より上の高い台に座り作業しています。

台の下では両足を使ってろくろを動かし、錫器を回転させ、



手バイト(業界ではカンナというそうです)を使って形を整えて行きます。
凹凸なく綺麗に削るのは高度な技術だそうです。

壁にはずらりと並んだカンナがあります。カーブや制作作業によって使い分けられ、
この錫器を削るのにも何種類かのカンナを使用していました。

右側が削る前、左側が削った後。かなりピカピカになっていますね。厚さはだいたい3mmから1.6mm程度の薄さになるそうです。


こちらは花瓶。花瓶などの場合2つの型を表裏綺麗に削り、溶接した跡を綺麗に削っていきます。この切削作業で出来上がる錫器もあります。

絵付けや取っ手などをつける場合はこちらの作業場で行われています。



こちらはお酒などを入れるタンポ。切削作業でできた錫器をやすりで削り注ぎ口をくっつけていきます。


こちらはジョッキ。


そして同じ作業場ではいぶし加工にする為の絵付けをしていました。
塗料で繊細な絵が描かれています。
この後、薄い硝酸液に浸け腐食させざらついた表面にうるしを塗りこみ
風合いをだします。


こんな感じ。完成。



できあがった錫器。グイ呑みから花瓶、と、様々な種類の錫器があります。
特に人気の商品はこのシルキータンブラーや茶器だそうです。


斜めの模様が美しい「さざなみ」というもの。
黒い服を着て写真を撮っていたので映ってしまいました…

錫器は中に入れる物の風味を増すといわれ、お酒はまろやかに
茶葉は香りがいつまでも保つと言われています。
錫器でビールや日本酒。いいですね!!
すこし高価なものですが丁寧に使えば一生物にできそうです。
毎年、11月の終わりには錫器をお得に買える大感謝祭が開催されるということですので
是非一度、足を運んでみてくださいね。
大阪錫器株式会社(HP)
〒546-0031 大阪府大阪市東住吉区田辺6-6-15
電話 06-6628-6731
Posted by 大阪の工場見学スタッフ at 14:00│Comments(0)
│大阪の伝統工芸
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。